海洋科学掘削

Exp. 403: Eastern Fram Strait Paleo-Archive

船上レポート

船上レポート

船上レポート1

(2024年06月10日受領)

アムステルダムから出港!

船上レポート2

(2024年06月18日受領)

ネットワーク環境が変えた船上生活

船上レポート1:アムステルダムから出港!

酒井 雄飛(京都大学 博士研究員)

皆さまこんにちは。京都大学の酒井です。

Exp.403の最初の乗船レポートをお送りします!

本航海では、北大西洋・フラム海峡東部の海底6つの地点を掘削し、過去数百万年間の気候変動に対する氷床・海氷や海洋循環の応答と相互作用を解明し、近未来の気候や氷床・海氷変動に対する将来予測モデルの高精度化につなげることを目指します。

今回はアメリカの掘削船JOIDES Resolution号のIODP最後の航海。
乗下船地はオランダ・アムステルダムです。

日本からは国立極地研究所の菅沼教授、産業技術総合研究所の飯塚研究員とともに乗船しています。
お二人とも乗船経験が豊富で、乗船前の準備から色々と教えて頂きました。

私はPhysical Properties Specialist 兼 Downhole Measurements Specialistとして乗船しています。
私自身、海外での研究は初めて、IODPも初めて、船上での実験も初めてです。
乗船研究者やラボテクニシャンの方々としっかりコミュニケーションをとって慣れていきたいと思います!

今回は通常業務に加え、原位置の3次元応力状態を計測するASR(Anelastic Strain Recovery: 非弾性ひずみ回復)実験を船上で行い、海洋底拡大および氷床の成長・融解に伴う地殻応力変化の解析による地殻変形のメカニズムとその影響の解明を目指します。

5月には京大の実験室から100kgオーバーの実験機器を輸送しました。
輸出入を伴うため、

  • 外為法の該非判定手続き
  • 安全データシート確認
  • オランダ側との調整
  • 再輸入手続き

など、指導教員、研究室の秘書さん、大学の事務方、フォワーダー業者様には多大なるご協力をいただきました。

無事に船上で貨物を見つけたときは心から安心しました!
ラボオフィサーらとともにセットアップを進めています。

JR号は運河を抜け、北海を抜け、現在ノルウェー沖の大西洋上を航行しています。

低気圧の影響もあって波が高く、若手の多くは船酔いに苦戦中…
最初のサイトに着くまでもうひと踏ん張り、頑張ります。

それでは。次のレポートをお楽しみに!

船上レポート2:ネットワーク環境が変えた船上生活

今回初めての船上レポートになります。産業技術総合研究所の飯塚睦です。 船上生活に慣れるのに時間がかかり、更新が遅くなってしまいました。

私は、2回目のJOIDES Resolution (JR) で、前回は約5年前に南極海の航海 (Exp. 382) に参加しました。

2回目なので、驚きはないだろうと乗船前は落ち着いていましたが、JRを目の前に、上がってきた海底堆積物コアを目の前に、スバールバル諸島の美しい景色を目の前に、様々なことに心を動かされる毎日です。前回の航海から5年が経ち、船上でのシステムで変わったことが多くありました。

一番驚いたのは、ネットワーク環境です。「フィールドワーク=デジタルデトックス」これが今までの常識でした。前回の航海でもインターネットルームという部屋のPCで少しはネットがつながったものの、自分のデバイスからは繋げることができませんでした。しかし、コロナ後から自分のPCをネットワークに繋げることができ、さらにスターリンクも積んでいるため、スマホからもスムーズに連絡を取ることができます(1週間の8GB制限)。知人との連絡、SNSの更新、ネット検索。今までの船上生活とは大違いです。

便利になって良かったなと思う感情が8割くらいですが、船内でしかコミュニケーションを取れないという制限、風景との対話など、デジタルデトックスだからこそできたことも多く、少しだけ寂しく思います。

ネットがつながって当たり前のフィールドワークになっていく転換期だと思い、文章に納めさせてもらいました。このように船上生活をリアルタイムで更新できること、嬉しく思います。

(写真)5年前は人が行き交っていたが、今ではガラ空きのインターネットルーム

ツールバーへスキップ