Exp. 402: Tyrrhenian Continent-Ocean Transition
船上レポート
船上レポート
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船上レポート1
(2024年2月16日受領)
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IODP Expedition 402 (Tyrrhenian Continent-Ocean Transition) 掘削が始まる前の様子
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船上レポート2
(2024年2月26日受領)
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船上レポート3
(2024年3月4日受領)
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船上レポート4
(2024年3月15日受領)
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船上レポート5
(2024年3月25日受領)
船上レポート1:IODP Expedition 402 (Tyrrhenian Continent-Ocean Transition) 掘削が始まる前の様子
森下 知晃(金沢大学)
IODP EXP402 Tyrrhenian Continent–Ocean Transition の船上レポートです。
2024年2月10日にJOIDES RESOLUTION号についに乗船。 (IMG_5978: JOIDES RESOLUTIONに乗船するときはこの梯子を渡って船に乗り込む)
まずは、今回の目的であるTyrrhnian 海のテクトニクスや掘削目的の説明や、何より、船の上での生活についてのレクチャーがありました。
(IMG_5887: 本掘削のNevio Zitelliniさんからの説明の様子)
また、個人の研究目的などの話も共有されました(IMG_5946: ABEさんの研究紹介)
この辺りから、掘削試料をめぐる微妙な駆け引きが始まってきます。
船の生活は、外国の方々との共同生活という普段とはまた違うストレスも感じることは事実です。
どうやって、のんびり過ごすのかを見つけることも、これまた重要。
綺麗な景色を眺めて、自問自答する時間も大切です。(IMG_5991: JRから見るナポリの街、遠くにベスビオ火山が見えます)
ようやく掘削が始まります。その様子は、また次の機会に
文責 森下:金沢大学
日本からの乗船メンバー
東京大学 秋澤様
日本原子力研究開発機構 安邊様
船上レポート2:Onboard report of IODP Exp. 402, 密かな思い
秋澤 紀克(東京大学)
掘削が始まりました。
掘削は基本的に24時間体制で実施されるため、研究者側も2シフトにわけて24時間体制で働きます。
休日はありません。
私のシフトは深夜0時〜昼12時までなので、明るいうちに寝ることになります。
生活は淡白になりがちなので、自分の船上生活に彩を加えることはとても重要です。
例えば、船外にでて地中海の日光を楽しんだり(写真 外)、シアタールームが備え付けてあるので映画を見ることも良いでしょう。
そんな中で、私の彩は筋トレです。
船上では立派なジムが備え付けてあるので、ほぼ毎日行き充実した筋トレ生活を送っています。
アメリカンな筋トレ先輩もいるので、その方達にアドバイスもいただけます。
食事に関しては、好きなものを選べるので、できるだけタンパク質と野菜を食べるようにしています。
問題は、いつでもデザートとアイスが食べられることです(写真 ケーキ)。
そうしているうちに、あっという間に2週間経ちました。
夢のシックスパックを手に入れるよう、日々鍛錬します。
研究活動紹介は、またの機会に。
以上です。
船上レポート3:Onboard report of IODP Exp. 402, 遊び心いっぱい
安邊 啓明(日本原子力研究開発機構)
掘削はすでに3サイト目。
IODP初参加の私ですが、日々のスケジュールや作業にも慣れ、
秋澤さん同様にジムで運動するなど(船上レポート2参照)
船上生活を楽しむ余裕が出てきました。
さて、コアの観察などを行う階の階段横には、
様々な情報が掲載されています(写真1)。
掘削中のサイトに関連した地震探査断面や地形図などの必要な情報のほかにも、
ほっこり楽しい掲示物も。
写真2は、何メートルで基盤に到達するかの予想大会(私が優勝!)、
写真3は、5文字の英単語を当てるクイズです。
壁だけでなく、船内宝さがしなどのレクリエーションが行われたり、
2/29の"Leap (=Jumping) Day"に合わせて飛び跳ねる動物のイラストが飾られたり(写真4)など、
船内には遊び心がいっぱいです。
研究だけでなく、船上生活もたっぷり楽しんでいます。
船上レポート4:Onboard report of IODP Exp. 402, ハンプディが過ぎました!
森下 知晃(金沢大学)
2月に始まったEXP402もついに半分を過ぎました。 船上での生活は、限られた空間の中での共同生活となります。同じシフトの人とはほぼ毎日、ずっと顔をあわせる。そして、試料が取れると記載、レポート作成、掘削孔ごとに発表もあります(写真1_NoriAbe_presentation、Nori Abeさんの掘削孔報告、写真2_NoriAki_presentation Noki Akizawaさんの掘削孔発表)。長く同じ時間を共有しているとギクシャクもするし、恋愛ごとも出てきます。ギスギスしがちだし、そんな中、どうやって精神を保つのかは人によって様々です。昼シフト組は、夕日を見るのがイベントになっていて、全体の作業を一旦やめて、休息を取る感じになってます(写真3_Sunset_)。一方で、一人になりたいと思っても、なかなか時間が作れません。その時は、全体ミーティングをサボったりしてバランスをとってます。 試料が上がれば、船上での試料分配も始まります(写真4_sampling 岩石試料の個人サンプル選別の様子)。そうなるとより面白そうな試料を持ち帰るための意地の張り合い、妥協が求められます。そんなこんなで船の中での研究の雰囲気は成熟されていく感じです。
船上レポート5:Onboard report of IODP Exp. 402, 瞬間センチメンタル
秋澤 紀克(東京大学)
私のJOIDES Resolution乗船はこれで2回目になります。
1回目の乗船は私が博士の学生だった2012年末〜2013年初め(IODP Expedition 345)になります。
その際はほぼ英語の聞き取りはできなく、コミュニケーション難があったことはいい思い出です。
それから約12年の年月が過ぎ、今回はそこそこコミュニケーションがとれていることに過去の自分を褒めてあげたくなる今日この頃です(写真:アウトリーチ活動のため東京大学とつなぐ様子)。
ちなみに航海残り2週間となり、糖質が我慢できずシックスパックまでの道のりは遠いことが明らかとなりました(写真:特製フルーツジュース)。
前置きはさておき、今回の私の研究ターゲットはマントル由来の岩石であるカンラン岩です。
カンラン岩は重い物質なので、基本的には地球内部に隠れていてお目にかかれません。しかし、我々が掘削を実施している地中海ではカンラン岩が海底に拡がっています。
既にカンラン岩採取に成功し、私的には満足のいく取れ高となりました。おめでたいです。
乗船も残り2週間となり、国際的な仲間とも色々な話ができました。
現行のIODPにおけるJOIDES Resolutionの運用も残り1航海となり、皆複雑な思いを抱いています。
もうJOIDES Resolutionに乗船することは基本的にできませんが、12年後私も含めて”仲間達”はどうしているのかということを考えると、少しセンチメンタルになります。
12年後、再度自分を褒めてあげられるよう、頑張らないと。