海洋科学掘削

国際深海科学掘削計画(IODP)について

国際深海科学掘削計画(IODP)とは

国際深海科学掘削計画(International Ocean Discovery Program;IODP)は、海底下の堆積物や岩石を掘削し、地球の歴史やダイナミクスを解明することを目的とした、多国間科学研究共同プログラムです。2013年10月に開始し、2021年7月現在、22か国が参加しています。

海底を掘削するためのプラットフォームは、アメリカのジョイデスレゾリューション号、ヨーロッパの特定任務掘削船(MSP:Mission Specific Platoforms)、そして日本の海洋研究開発機構(JAMSTEC)が運用する地球深部探査船「ちきゅう」です。

IODPに関する科学プロジェクトの推進や研究者の支援を担うProgram Member Offices(PMO)が設置されており、J-DESCは日本におけるPMOの役割を担っています。

IODPのホームページ

科学計画書

IODPは2011年に策定された科学計画書「IODP Science Plan 2013-2023: Illuminating Earth’s Past, Present, and Future」に基づいて実施されています。この科学計画書に沿って科学掘削提案が提出され、審査を通過して高い評価を得た第一級の提案が実行計画に組み込まれ、掘削研究航海が実施されます。

Illuminating Earth’s Past, Present, and Future

本科学計画書では、以下の4つの主要テーマが示されています。

  1. 気候・海洋変動:過去を読み、未来を予想する
  2. 生命圏フロンティア:地下生命多様性および生態系による環境への影響
  3. 地球活動の関連性:深部プロセスおよびその地球表層環境への影響
  4. 変動する地球:人類の時間的スケールに対するプロセスおよびハザード

【2024年以降の海洋科学掘削の指針―2050 Science Framework】

EXPLORING EARTH by scientific ocean drilling

2020年秋に、2024年以降の海洋科学掘削の指針として、海洋科学掘削2050サイエンスフレームワーク(2050 Science Framework: Exploring Earth by Scientific Ocean Drilling)が出版されました。これからの掘削提案は、このフレームワークに基づき、評価・実施されます。

IODPの枠組み

IODP体制図

IODP Forum

IODP Forumは、議長と参加各国の各組織代表からなる会議体で、IODPの計画全体を俯瞰し、掘削船の運用、参加各国の連携、将来計画に関する調整・提言を行います。

Facility Board

IODPに供する掘削船の運用計画に対して提言・承認する運用委員会。アメリカではJOIDES Resolution Facility Board (JRFB)、欧州海洋掘削研究コンソーシアム(European Consortium for Ocean Research Drilling; ECORD)ではECORD Facility Board (EFB)、日本ではChikyu IODP Board (CIB: 「ちきゅう」運用委員会)が設置されています。

科学評価パネル及び環境保護安全パネル

IODPに提出されたプロポーザルの科学的内容の評価を行うScience Evaluation Panel: SEP(科学評価パネル)と掘削サイトの安全性及び掘削による環境影響評価を行うEnvironmental Protection and Safety Panel: EPSP(環境保護安全パネル)にはJ-DESCからも委員を派遣しています。これらのパネルは JOIDES Resolution Facility Boardの下に設置され、Science Support Officeによって運営されています。

Science Operator

IODPにおいて、掘削船の運用・管理、データ管理、掘削コアの保管・管理をはじめとする各種業務を実施する組織。日本では海洋研究開発機構(JAMSTEC) 研究プラットフォーム運用部門(MarE3)、アメリカではJOIDES Resolution Science Operator (JRSO)ECORDではECORD Science Operator (ESO)がこの機能を持ちます。

Program Member Office: PMO

IODP 参加各国においてパネル委員や乗船研究者の公募・推薦等を行うとともに、国内での研究者窓口や、各種国際対応案件の窓口となる機関。日本ではJ-DESC Support Office、アメリカではUS Science Support Program (USSSP)、ECORDではECORD Science Support & Advisory Committee (ESSAC)がこの機能を持ちます。

J-DESCからの委員

科学評価パネル(Science Evaluation Panel: SEP)

委員氏名 所属 専門 任期
Science subgroup
松崎 賢史 東京大学大気海洋研究所 Paleoceanography, micropaleontology 2019年10月~2024年9月
山口 耕生 東邦大学 Environmental geochemistry; paleoenvironmental changes 2020年10月〜2024年9月
針金 由美子 産業技術総合研究所 Petrology and structural geology 2021年10月〜2024年9月
仲田 理映 東京大学 Marine geophysics and tectonics 2021年10月〜2024年9月
浜橋 真理 山口大学 Tectonics, structural geology, geomechanics 2022年10月~2024年9月
Site Survey subgroup
山本 由弦 神戸大学 Structural geology, Marine geophysics 2020年10月〜2024年9月
白石 和也 JAMSTEC Marine geophysics 2020年10月〜2024年9月

環境保護安全パネル(Environmental Protection and Safety Panel: EPSP)

委員氏名所属専門任期
朴 進午東京大学大気海洋研究所Marine geology, geophysics2016年10月~2022年9月
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