2023.05.15

訃報:元IODP_MI代表 Manik Talwani 氏 ご逝去

元 IODP-MI代表でライス大学名誉教授のManik Talwani氏が、2023年3月22日にご逝去されました。享年89歳でした。ここに生前のご活躍に敬意を表し、ご冥福をお祈りするとともに謹んでお知らせ申し上げます。

Talwani氏は著名な地球物理学者であり、コロンビア大学ラモント・ドハティ地球科学研究所所長などを歴任し、2004–2009 年には、IODP国際計画管理法人(Integrated Ocean Drilling Program Management International Inc.)の初代代表(President, CEO)に就任され、国際海洋科学掘削の新時代の開拓に多大なる貢献をされました。

Talwani氏の経歴および追悼ページは下記をご覧ください。
USSSP
https://mailchi.mp/ldeo/iodp-community-update-dwzlqbjyhs?e=b4b07f6423
ライス大学
https://eeps.rice.edu/news/2023/eeps-mourns-passing-manik-talwani
Legacy.com
https://www.legacy.com/us/obituaries/legacyremembers/manik-talwani-obituary?id=51576292

「末廣 潔 元IODP-MI代表より追悼文を頂きましたので、以下に掲載させていただきます。」

末廣 潔 元IODP-MI代表による追悼文

Manik Talwaniさんの訃報を今年4月に知りました。1933年に生まれ、2023年3月22日に亡くなられ、享年89歳でした。彼の残された多くの業績については、検索でもすぐわかるように海洋をフィールドとした固体地球科学を中心に、まさに巨人と言われる活躍をされました。彼がすでに功なり名遂げてからですが、短い間、いっしょの時間を過ごしたときの思い出を記して、ご冥福を祈りたいと思います。

最初にお会いしたのは、90年代のころ、上田誠也さん(も巨人でしたが)に声をかけられ、IOC(International Oceanographic Commission)のGAPAという海洋観測データを太平洋大西洋のアトラス上にマッピングするプロジェクトでです。そのために世界中の研究者からこぞってデータ提供のあったことは、Talwaniさんも上田さんも海洋観測のパイオニアであった信頼があったからこそだと思います。オープンデータにつながる先鞭をつけられたと今では思います。このプロジェクトではロシアの研究者も熱心に参加していたことを思い出します。TalwaniさんはManikと気安く呼ばれ、世界の誰とでも話せる研究者とのネットワークのあることに驚嘆しました。計画が、途中でぽしゃりそうにもなっても、こともなげにすぐにいろいろな代替案を提案され、つねに前を向いているリーダーシップを目の当たりにしました。

その後再会したのは、ほかならぬ統合国際深海掘削計画IODP(2003-2013)のIODP国際管理法人(IODP-MI)の設立と運営においてでした。Manikが初代の代表に就任し、DSDP以来はじめての複数の掘削機能(ちきゅう、JR、MSP)の運用と国際サイエンスコミュニティのプラオリティをつなぐ重要な役割を果たされました。Manikは、科学掘削の重要性、その維持継続のチャレンジングなこと、国際的な調整の困難さを知りぬいていたと思います。が、特徴的な笑顔を忘れずに、簡明直截的に問題を見抜き解決しようと躊躇しない姿勢は、サイエンスに対する姿勢と同じだなあと、とくに感銘を受けました。IODP-MI代表は2009年に末廣が引き継ぎましたが、Manikはいつでも手伝ってくれようとしましたことにも感謝です。
Manikの持っていた掘削科学、海洋科学への純粋な情熱が世界中の次世代研究者に引き継がれていきますよう。あらためてご冥福を祈ります。

2023年5月12日
末廣 潔

ツールバーへスキップ