2014年8月5日
2013年10月から10年間の国際深海科学掘削計画(新IODP)がスタートしました。これに伴い、それ以 前の10年間に実施された統合国際深海掘削計画(旧IODP)の中央管理組織(IODP-MI)は解散することになりました。この組織は米国の非営利団体 ですが、末廣 潔氏が最後の社長を務めました。この団体の解散に当たり、その資産を米国地球物理連合(AGU)に譲渡し、海洋掘削科学に貢献した若い研究 者に授与する新しい賞をAGUに創設して、この賞の賞金の原資とすることになりました。この賞は、原則として博士号を取得後15年以内の研究者を対象とし、賞金として18,000ドルが授与され、授賞式は毎年1回、AGUまたは日本地球惑星科学連合(JpGU)の学術大会で交互に行われます。候補者の募 集が始まりましたら、優れた業績を挙げた若手研究者を奮ってご推薦下さい。
この賞の名前は、世界の海洋掘削科学の発展に大きく貢献した平朝彦氏を顕彰し、「平朝彦国際深海科学掘削研究 賞」(The Asahiko Taira International Scientific Ocean Drilling Research Prize)とすることになりました。AGUの賞にはMedal, Award, Prizeの3種類がありますが、賞金が出るのはPrizeだけです。この度、日本人研究者の名前を冠した国際的な海洋科学の賞が米国地球物理連合に新設 されたことは、深海掘削船「ちきゅう」の建造と、それを利用した人類初の日本海溝・南海トラフにおける地震断層掘削など、日本の海洋掘削科学の成果が世界 に認められたことを示します。今後もこの賞を目指して、若手研究者が深海科学掘削に多数参加し、多くのすばらしい研究成果が得られることを期待します。
日本地球掘削科学コンソーシアムIODP部会長
石渡 明
EOS, Transactions, American Geophysical Unionの記事(8/5付)
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/2014EO310011/abstract