リポジトリコア再解析プログラム:ReCoRDとは
リポジトリコア再解析プログラム(ReCoRD:Repository Core Re-Discovery Program)は、高知コアセンター*(以下、KCC)で保管されているリポジトリコア**を用いた試料再解析プログラムです。本プログラムはKCCとJ-DESCとの協働プログラムとして実施します。
リポジトリコアは、現行IODPのポリシーの下で誰でもサンプルリクエスト(以下、IODPサンプルリクエスト)を提出し、学術目的で利用することができます。ReCoRDはこのポリシー制度の下で、個人や少人数のグループではなく、掘削航海のサイエンスパーティに類する研究チームによるコア試料の集中的な再解析を実施して新たな成果の創出を目指す枠組みです。
実施提案の受付について
ReCoRDの枠組みを利用してリポジトリコアの集中的な再解析を行う提案を募集します。研究者から提出された実施提案は、J-DESCのReCoRD評価チームによってその科学的意義や実現可能性などが審査され、KCCによって年に数件の提案が採択されます。採択された提案に基づき、対象とされたコア試料について、KCCスタッフによる事前データの取得(KCCの分析機器を用いたコアの非破壊分析や画像データのデジタル化など)を行った後、分析試料の集中的なサンプリングを行います(実施提案タブの「標準的な作業量」を参照)。なお、サンプリングには、個々の研究者が個別にIODPサンプルリクエストを提出する必要があります(下記「サンプルリクエストの受付について」を参照)。
*高知コアセンター:高知大学とJAMSTECで共同運営するコア保管・分析施設
**リポジトリコア:過去のDSDP、ODP、IODP航海により得られたコア試料
サンプルリクエストの受付について
コア試料の事前データ取得と並行してIODPサンプルリクエストを募集し、一定期間の間に申請されたIODPサンプルリクエストをまとめて集中的にサンプリングを行います。IODPサンプルリクエストが承認された研究者は、事前に取得された非破壊データおよび個別の解析データを相互に共有し、共同で研究を進めます。
・通常のデータ/サンプルリクエストより大量のコア試料を対象にできる
・非破壊計測によるデータ取得をKCCスタッフが(無償で)実施する
・他分野の研究者と解析データを共有しながら共同で研究できる
・滞在中の宿泊費支援
ReCoRD採択テーマ
採択番号 | ReC23-01 |
タイトル | Tracing Intermediate Water Current Changes and Sea Ice Expansion in the Indian Ocean |
主提案者 | Junichiro Kuroda, University of Tokyo |
要旨 | Within the proposed ReCoRD, we aim to understand the effect of changing climatic conditions during the “near-future warm period analogs” such as the Miocene Climatic Optimum (MCO), and subsequent cooling during the Middle and Late Miocene and Pliocene had on intermediate water formation and circulation. Model studies indicate that climatic changes lead to a positional shift of the westerlies, related to the expansion and contraction of sea ice around Antarctica. These changes further modulated intermediate water circulation and nutrient transport in the global oceans (see Laufkö tter, C. & Gruber, N., 2018; Science 359, 1103–1104). Based on this hypothesis, we aim to identify and correlate evidence for intermediate water current changes and potential sea ice expansion in the Neogene by re- investigating key Ocean Drilling Project (ODP) Sites in the wider Indian Ocean. Our strategic sampling plan involves a transect through key features of Indian Ocean water masses targeting ODP Sites 707 and 752, as well as DSDP Site 266. The objectives are, therefore: 1) Analyze Site 707 and 752 to define the sedimentological changes related to the hypothesized reorganization of intermediate water circulation. 2) Provide new digital core archives which can be directly correlated to existing visual core descriptions to better quantify current winnowing or ice-rafted debris at the target Sites. 3) Targeted sampling of the study sites for subsequent laboratory-based studies to better define intermediate water changes that provide information regarding the origin and nutrient load of the water masses interacting with the sediment at each Site. |
対象コア | 115-707A, 1H – 15H 121-752A, 1H – 10H 28-266*, 1R – 22R |
サンプルリクエスト募集期間 | 2023年6月13日まで |
サンプリングパーティ実施期間 | 2023年8月下旬から9月にかけての2週間程度 |
Link to the proposal | https://j-desc.org/jpn/wp-content/uploads/2023/05/ReCoRD-proposal_cover.pdf |
実施提案の要件
ReCoRDは、「IODP Sample, Data and Obligations Policy」の範囲内で実施されます。実施提案にあたっては、以下の要件を満たす必要があります。
1. 学術研究を目的とした科学提案であること。
2. 事前のデジタル化作業が(最長)6か月程度で、集中的なサンプリングが1-2週間程度で実施可能な内容であることが望ましい(下記「標準的な作業量(参考)」を参照)。コア掘削長1500 m(1000セクション)を上限として対象コアを選定すること。
3. 提案者だけでなく、一定期間内に提出されたサンプルリクエスト提出者(参加希望研究者)と共同で研究を進められること。
4. 対象コアはKCCで保管しているものに限る。
KCCで保管しているコアはこちら:
http://kochi-core.jp/iodp-curation/core-sample/index.html
DSDP/ODP/IODPの掘削コアだけでなく、その他にKCCで保管しているコアの利用を希望する場合は、下記J-DESCサポートオフィスにお問合せください。
実施提案の募集について
応募資格
主提案者は、J-DESC会員機関所属者もしくは個人会員であること。
募集期間と締切
募集期間は通年ですが、原則年2回の締切(5月1日、11月1日頃)を設定して提案の審査を行います。
次回締切:2023年10月01日(日)*次回の締切日は通常より早いのでご注意ください
応募方法
以下からダウンロードできる公募審査要領をよくお読みのうえ、所定のProposal FormによりReCoRD実施提案書を作成し、PDF形式の電子ファイルにして、Eメールに添付して提出してください。
提出先:J-DESCサポート(infoの後に@j-desc.org)
応募関連資料 | |
ReCoRD実施提案書 Proposal Form | Word形式 PDF形式 |
応募審査要領 | PDF形式 |
主提案者の役割と注意点
提案が採択された場合、主提案者には以下の協力をお願いします。
・採択決定後速やかに、KCC担当者と調整の上、事前データの取得を含む全体の作業内容概略を記した「ReCoRDデータ・サンプルリクエスト」を提出していただきます。
・参加希望研究者間でIODPサンプルリクエストに重複が生じた場合、調整をお願いすることがあります。
・集中的サンプリングの実施までの間に参加希望研究者と随時オンラインミーティングを開催し、事前取得データのレビューとサンプリングプランの調整において主導的な役割をお願いします。
なお、以下の点をご了承ください。
・採択後に提出する全体の作業内容概略を記したReCoRDデータ・サンプルリクエストに加えて、自身の研究で用いる試料の採取には別途IODPサンプルリクエストの投稿が必要
・主提案者に、掘削航海におけるCo-chief scientistのような特権(参加者の選任やIODPサンプルリクエスト承認権限など)はありません。
提案採択後の流れ
1. 採択された提案の主提案者(役割は上記を参照)とKCC担当者とで事前データ取得を含む全体の作業内容を検討し、主提案者はその内容でReCoRDデータ・サンプルリクエストを提出する
2. 採択テーマが本ウェブサイトに掲載され、対象コアへのサンプルリクエストを募集する
3. IODPサンプルリクエスト提出者(参加希望研究者)が揃ったところで、重複があるリクエストについてIODPキュレーターと主提案者が中心となって調整を行う
4. 主提案者、参加希望研究者、KCC担当者とで事前データ取得を含む全体の作業内容を再度調整する
5. 主提案者、参加希望研究者、KCC担当者とでサンプリングパーティの要否を検討し、日程と作業内容を決める
6. 6ヶ月間程度でデータ/サンプルの取得を完了する
7. データ/サンプルの取得を完了した年度末に報告書を提出する
標準的な作業量(参考)
実施提案は、6ヶ月程度で事前データ取得からサンプリングまで実施することを想定しています。最大量として、1000セクションを超えない範囲で対象とするコアを選定してください。具体的な作業プランは採択後の検討となります。AH:アーカイブハーフ、WH:ワーキングハーフ
・CTスキャン:AH1000本
・ITRAX:AH200-250本(調整中)
・画像スキャン:AH、WH1000本ずつ
・スミアスライドのデジタル化:1000枚程度
・サンプリング:WH1000本
・パイロットスタディ(年代や特定の成分の含有量など、サンプリングプラン作成に必要なデータが対象):サンプリングパーティ実施までにデータを出せる量
ReCoRDは、IODP Sample, Data and Obligations Policyの範囲内で実施されます。サンプルリクエスト提出にあたっては、以下の要件を満たす必要があります。
1. 学術研究を目的とした科学提案であること。
2. サンプル取得から三年以内に成果を公表すること。その他IODPのポリシーに従うこと。
3. 採択提案の研究チームの研究者と共同で研究を進められること。
4. 成果を公表する際には、謝辞にプログラム名(KCC-J-DESCリポジトリコア再解析プログラム、またはKCC-J-DESC Repository Core Re-Discovery Program)と採択番号を含めること。
ReCoRDデータ・サンプルリクエスト募集期間中に提出されたIODPサンプルリクエストは、募集期間終了後にまとめて審査されます。採択番号が記載されていない場合は、通常のIODPサンプルリクエストとして審査されますが、採択テーマ公表時にはすでに主提案者によるReCoRDデータ・サンプルリクエストが承認済みなので、研究目的に重複がある場合は主提案者のリクエストが優先されます。
サンプルリクエストの受付について
採択された提案の下で、一定期間IODPサンプルリクエストを受け付けます。期間内に提出されたサンプルリクエストをまとめて、重複などを調整の上、サンプリングを行います。調整にあたり、IODPサンプルリクエストの内容は主提案者と共有する場合があります。またリクエスト承認後に、参加者間で相互に共有されます。
サンプルリクエストの提出方法
サンプル/データへのアクセスの記載も参照の上、IODPのサンプルリクエスト投稿サイトから投稿してください。サンプルリクエストのObjectives中にReCoRDの採択番号を明記してください。
事前取得データへのアクセスについて
事前に取得されたデータ(コアの非破壊データ等)は、サンプルリクエスト受付期間中にリクエストが承認された研究者間で共有されます。データは一定期間後、オンラインで公開する予定です。
サンプリングパーティ
サンプリングパーティの日程や作業内容は、KCC担当者と主提案者を中心に参加者間で協議の上、決定します。サンプリングパーティを実施する場合でも全員の参加は必須ではありませんが、サンプル数量が多い、または特定の対象を選んでサンプリングする場合は、特にサンプリングパーティに参加することを推奨します。サンプリングパーティの参加者は、高知大学内の宿泊施設を無料で利用できるよう調整中です(土日除く)。また学生の参加者はJ-DESCの「KCCレガシーコアサンプリングのための学生旅費支援制度」を利用できます。
インターンシップ
KCCでは、サンプルリクエストを提出する研究者としての参加以外に、サンプリングパーティ期間中にインターン生として作業に従事する学生を随時募集します。詳細は別途お知らせします。作業内容等は以下の通りです。
・サンプリングパーティ期間中、KCCに滞在して研究者の作業を補助する。主な作業はコアの準備、サンプル採取、データの登録、サンプルのパッキングなど。
・KCCスタッフや研究者と適宜コミュニケーションをとりながら作業できること。
・滞在期間は2週間程度
・交通費、宿泊の支援については別途ご相談ください。
サンプリングパーティ期間中に対象となるコア試料についての自身の研究やサンプリングを行うことはできませんが、期間中に研究者とのディスカッションに加わったり、期間終了後に改めてサンプルリクエストを提出すことは可能です。
アウトリーチ
KCCでは、研究チームと一緒にKCCに滞在し、アウトリーチ活動に従事する参加者を随時募集します。詳細は別途お知らせします。
・サンプリングパーティ期間中、KCCに滞在して研究者の作業に参加し、その様子を外部に向けて発信する。
・研究テーマ採択後の事前データ取得期間から参加することも可能。
・滞在期間は2週間程度。
・交通費、宿泊の支援については別途ご相談ください。
お問い合わせ
J-DESCサポートオフィス
海洋研究開発機構 横須賀本部内
E-mail: infoの後に@j-desc.org