Exp. 397: Iberian Margin Paleoclimate 最終船上レポート

船上レポート
最終更新日:2022年12月12日
※日付は日本時間

船上レポート5(2022年 12月12日受領)>>掘削終了
船上レポート4(2022年 12月10日受領)>>Ship Tour 船内中継
船上レポート3(2022年 11月06日受領)>>乗船して驚いたこと
船上レポート2(2022年 10月17日受領)>>いよいよ出航!翌日にはもうCore on deck!
船上レポート1(2022年 10月14日受領)>>JOIDES Resolution号に乗船しました

 

船上レポート5:掘削終了

池田 尚史(山口大学 大学院生)

現在、本船は下船場所であるスペイン・タラゴナへ移動中です。掘削、分析、レポート執筆が無事に終わってほっとしています。
振り返ると、二か月前には見ず知らずだった乗船者たちとも今ではすっかり友達になれました。迷路みたいだった船内も今では自宅のような居心地の良さです。何もかもが新鮮で、充実した二か月間でした。この航海を無事に終了することができうれしい反面、少し寂しくも感じます。
このような機会を与えてくださった本航海の乗船者・関係者の皆様に心から感謝します。特に同じ研究グループの黒田さん、Mayさん、Sarayさんには分析だけでなく船内生活も含めあらゆる面で助けてもらいました。J-DESCの木戸さん、江橋さん、監物さんには乗船にあたり旅程の決定、保険への加入など手厚いサポートをしていただきました。担当教員の川村先生には本航海への応募、研究テーマに関して有益なアドバイスを頂きました。ありがとうございます。
下船後も、半年後にサンプリングパーティー、2年後にポストクルーズミーティングといった具合でこのプログラムは継続されます。本航海で掘削された堆積物が科学の発展に寄与できるように、僕も自身の研究活動を通じて微力ながらお力添えできたら幸いです。

 

船上レポート4:Ship Tour 船内中継

黒田 潤一郎(東京大学・大気海洋研究所 准教授)

Expedition 397は、12月8日に最後のサイトU1588での掘削を終え、全てのコアフローが完了しました。合計回収コアの全長は実に6176.72 m に達しました。2か月間、怒涛のコアフローでした。
現在,船はジブラルタル海峡を越えて地中海を東に向かっております。あとはサイトレポートを改訂し、ポストクルーズの個人サンプルリクエストを改訂・再提出したら終わりです。
全体ミーティングで Outreach Officer から報告があり、わが日本は船内中継ツアー4回で、全体の3位タイ(断トツ1位はポルトガル35回!、2位は米国26回、日本と同回数はインド)とまずまずの結果でした。閲覧者数はまさかの350万3373名!ただし、ここには中国のニュース番組で生中継された際の視聴者数350万人(概算)が含まれています。それを除いても、合計3,373名が閲覧しました。非常に活発なアウトリーチが展開されました。

日本との中継は、以下の4件でした。
・ 東京大学柏キャンパス一般公開(日本側ホスト: 秋澤紀克さん、松崎賢史さん)、
・ 福井県児童科学館エンゼルランド(日本側ホスト: 諸野祐樹さん)、
・ 大阪府立大手前高校(日本側ホスト: 益田晴恵さん、大手前高校 黒松俊基教諭)、
・ 名城大学附属高校(日本側ホスト: 木戸ゆかりさん、名城高校 羽石優子教諭)と、
多くのJ-DESCの方にサポートしていただき実施できました。

池田さんはシフトの関係で日本と時間が合わない中、エンゼルランドとの中継ではオフシフトに睡眠時間を削って参加してくれました。
この場をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございました。

※本航海のOutreach Officer 、Amy氏による船上アウトリーチイベント紹介はこちらから
※Expedition 397 の乗船研究者の声(オーディオグラム)はこちらから

写真1  シップツアーの総括を報告してくれるOutreach Officer の Amy さん.閲覧者数に注目!

写真2 名城高校との中継のスクリーンショットを説明するOutreach Officer の Amy さん.

写真3  ジブラルタル海峡を越えて地中海に入りました.スペインのアリカンテの街が遠方に見えます.この辺りにPrime Meridian (本初子午線).これから東半球に入ります.帰港地のタラゴナまであと少し.

 

船上レポート3:乗船して驚いたこと

池田 尚史(山口大学 大学院生)

こんにちは、山口大学の池田尚史です。乗船して早1ヶ月が経過しました。毎日、合計で百メートル近くもの長さが上がってくる堆積物コア試料の分析に追われながらも、楽しく充実した日々を過ごしています。
さて、今回の船上レポートでは、自分が個人的に感じたちょっとした驚きについて書いてみたいと思います。
先ずは、コアキャップについてです。僕が以前に乗った調査船は、トップに白、ボトムに赤のキャップを用いていました。この色は、雲とマグマを表していると教えられて、「なるほど、分かりやすい!」と思った覚えがあります。ところが、JR号ではトップは青、ボトムは(ほとんどの場合)白となっています。コアキャップの色は船によって違うんだと驚きました。

 

キャップのついたコア(トップが青色)

次に、ラボの様子についてです。JR号のラボは、絶えることなく分析・研究活動を続けています。僕も一日の約半分をこのラボで過ごすのですが、その間、かなりの頻度で音楽が流れています。科学者も技術者も皆さんノリノリで、鼻歌が聞こえてくることも。はじめて音楽が流れたときは、とても驚きました。
JR号での生活は、毎日が驚きと発見の連続でとても面白いです。

 

船上レポート2:いよいよ出航!翌日にはもうCore on deck!

黒田 潤一郎(東京大学・大気海洋研究所 准教授)

こんにちは。IODP第397次研究航海にPhysical propertiesとして参加している東京大学の黒田潤一郎です。JOIDES Resolution 号は、リスボン港での5日間のポートコールを終え、10月16日の朝8時頃(日本時間16日16時頃)、曇り空の中リスボン港を出航しました。

出航後、わずか半日で最初のサイトU1586 (水深4800m)に到着。次々にパイプを繋いで伸ばし、翌10月17日のお昼には最初のコアリングが始まりました。最初の Core on Deck! は正午頃。そちらは空振り。水が入っていただけでした。どうやら事前調査で得た水深よりも、実際の水深が深かったようです。次のコアリングで、記念すべき最初のコアが上がってきました。これから2カ月間、休む間のない作業が続きます。

 

写真1 リスボン出港!

 

写真2 この航海最初のコアが上がってくるのを待つ研究者たち。ワクワクが止まらない。ただしこのコアは空振りでした。

 

船上レポート1:JOIDES Resolution号に乗船しました

池田 尚史(山口大学 大学院生)

こんにちは、IODP第397次研究航海にPhysical propertiesとして参加する山口大学の池田尚史です。本日、隔離期間を過ごしたホテルを離れ、ついにJOIDES Resolution号(以下JR号)に乗船しました。初乗船です。JR号の第一印象は「船体大きい!やぐら高い!」。

 

写真1 リスボンにて寄港中のJR号

船内ツアーでは様々な施設を案内してもらいました。研究設備の充実はもちろんのこと、シアタールーム、ジム、エスプレッソマシーンなど普段の生活ではあまり馴染みのない設備までありました。さらに、ジュース飲み放題、アイス作り放題みたいです。これから2ヶ月間、楽しく充実したものにしたいです。

 

写真2  食堂に設置されているドリンクサーバー

 

 

航海概要

航海名

Expedition 397: Iberian Margin Paleoclimate

JRSOのページ >> こちら

航海予定期間

2022年10月11日~12月11日

掘削船

JOIDES Resolution

乗船/下船地

Lisbon, Portugal to Tarragona, Spain

掘削地点

科学目的

スペインのイベリア半島西岸沖は後期更新世の厚い堆積物に覆われ、極域氷床-海洋-陸域の対比も可能な気候変動の連続記録を得られる世界でも数少ない海域です。Exp. 339 では1.43Maまでの半遠洋性堆積物が回収されましたが、Exp. 397ではこの連続記録を鮮新世まで拡張し、5地点での水深トランセクト掘削によって北大西洋の水塊変動を明らかにします。

The Iberian Margin has rapidly accumulating sediment that contains a high-fidelity late Pleistocene record of millennial climate variability (MCV). Sir Nickolas Shackleton demonstrated that piston cores from this region can be correlated precisely to polar ice cores from both hemispheres. Moreover, the narrow continental shelf off Portugal results in the rapid delivery of terrestrial material to the deep-sea environment, thereby allowing correlation of marine and ice core records to European terrestrial sequences. Few places exist in the world where such detailed marine-ice-terrestrial linkages are possible. The continuity, high sedimentation rates, and fidelity of climate signals preserved in sediments make this region a prime target for ocean drilling. During IODP Expedition 339, Site U1385 was drilled and recovered a complete record of hemipelagic sedimentation for the last 1.43 Ma with a mean sedimentation rate of 11 cm/kyr. IODP Expedition 397 will extend this remarkable sediment archive through the Pliocene and recover a complete depth transect of five sites that will provide a complete suite of downhole records with which to study past variability in the major subsurface water masses of the North Atlantic.

詳細については、Call for Applications (wordファイル)JRSOのページをご参照ください。

共同首席研究者

Prof. David Hodell and TBD

J-DESCからの乗船研究者
氏名 所属 役職 乗船中の役割
池田 尚史 山口大学 修士課程 Sedimentologist
黒田 潤一郎 東京大学 准教授 Physical Properties Specialist

 

乗船者決定済

オンライン説明会

本航海の科学目的や船上生活等について、下記のようにオンライン説明会(Webinar)が開催されました。==> こちらから、ご登録後、録画をご覧いただけます。資料はこちらです。

To learn more about the scientific objectives of Expedition 397, life at sea, and how to apply to sail, please join us for a web-based seminar on Tuesday, October 19, 2021 at 2:00 pm EDT (1pm CDT / 7pm BST).

募集情報

募集分野

募集分野に制限はありません。

WHO SHOULD APPLY: We encourage applications from all qualified scientists. The JOIDES Resolution Science Operator (JRSO) is committed to a policy of broad participation and inclusion, and to providing a safe, productive, and welcoming environment for all program participants. Opportunities exist for researchers (including graduate students) in all shipboard specialties, including micropaleontologists, sedimentologists, volcanologists, petrologists, igneous geochemists, inorganic and organic geochemists, microbiologists, paleomagnetists, physical properties specialists, and borehole geophysicists. Good working knowledge of the English language is required.”
※詳細については Call for Applications(word ファイル) をご参照ください。

募集締切

2021年11月1日(月)==> 11月23日(火)に延長します!==>締め切りました

応募方法

応募フォームのタブからご応募ください。記入は全て英語でお願いいたします。

応募には全員英文CVの提出が必須となります。大学院生の場合は指導教員の推薦書が必要となります。
修士課程の大学院生の応募は可能ですが、乗船時点で修士在学中の場合は指導者(指導教員もしくは代理となる者)と共に乗船することが条件となります。

COVID-19の影響について

COVID-19に関しては,JRSOの指示にしたがってください。

The COVID-19 protocol is available here.

乗船に関わるサポート情報

乗船研究者としてJRSOから招聘される方には乗船前から乗船後に至る過程の数年間に様々なサポートを行っています。主な項目は以下の通りです。

1. プレクルーズトレーニング:乗船前の戦略会議やスキルアップトレーニング
2. 乗船旅費:乗下船に関わる旅費支援
3. アフタークルーズワーク:モラトリアム期間中の分析
4. 乗船後研究:下船後最長3年で行う研究の研究費

乗船の手引き(乗船前準備や船上作業・生活方法に関する経験者からのアドバイス集)>>こちら

注:情報が古いため改訂版作成中。

お問い合わせ

J-DESCサポート
海洋研究開発機構 横須賀本部内
E-mail: infoの後に@j-desc.org

プレスリリース

下記プレスリリースされました(2022年10月7日)。

◆国際深海科学掘削計画(IODP)第397次研究航海の開始について~イベリア縁辺域の古気候~(日本語)
https://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20221007/

◆International Ocean Discovery Program (IODP) Expedition 397
Iberian Margin Paleoclimate  (English)
https://www.jamstec.go.jp/e/about/press_release/20221007/

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