テーマ
Testing plume and plate models of ocean plateau formation at Shatsky Rise, northwest Pacific Ocean
航海期間
2009年9月4日~11月3日
掘削船
JOIDES Resolution/USIO
共同首席研究者
William W. Sager & 佐野貴司(国立科学博物館)
J-DESC推薦の乗船研究者
氏名 | 所属(乗船時) | 乗船中の役割 |
佐野貴司 | (国立科学博物館) | Co-chief Scientist |
三好雅也 | (京都大学) | Core Description / Igneous Petrologist |
清水健二 | (海洋研究開発機構) | Igneous Petrologist |
松原典孝 | (茨城大学) | Sedimentologist / Volcanologist |
石川 晃 | (海洋研究開発機構) | Inorganic Geochemist |
大賀正博 | (同志社大学) | Paleomagnetist |
安渡敦史 | (東北大学) | Micropaleontologist (foraminifers) |
平野直人 | (東北大学) | Structural Geologist |
J-DESC推薦のアウトリーチ担当乗船者
氏名 | 所属(乗船時) | 乗船中の役割 |
内尾優子 | (国立科学博物館) | Educator |
国立科学博物館のホームページでは、関連イベント情報や内尾さんによるブログも掲載されています。
>>深海底研究最前線 地球をほる? ジョイデス・レゾリューション号の地球を知る旅234
>>ブログ「地球をほる?」

掘削地点
航海の目的
巨大火成岩岩石区(Large Igneous Provinces: LIPs)は、巨大海台や大陸洪水玄武岩の総称であり,大規模なマグマ活動が短時間に起こった結果形成されたものである.LIPsは巨大プルームに起源が あると提案されてきた.これはマントル深部から上昇してきたプルームがリソスフェアの下で広がり,大規模なマントル溶融がおきて火成活動が起こるというも のである.このメカニズムは広く受け入れられているが,かならずしも全てのLIPs形成を説明できるものではない.むしろ1990年代後半から2000年 代前半に掘削された1番目と2番目に巨大なLIPsであるオントンジャワ海台とケルゲレン海台は,互いに全く異なった特徴をもち,共にプルームモデルで説 明できない可能性が指摘されている.そのために更なる検証が必要であるが,研究はあまり進んでいない.検証が困難となっている原因の1つとして,巨大海台 の多くは形成時の中央海嶺や海洋プレートとの位置関係が明らかになっていないという問題がある.この理由は巨大海台の多くは地磁気の逆転が起きていない中 期白亜紀に形成されているため,昔の中央海嶺の位置を示す地磁気の縞模様が得られないからである.
シャツキー海台は、地磁気の逆転が起きていたジュラ紀と白亜紀境界に形成された唯一の巨大海台である.このためテクトニックセッティングがよく分かってい る.地磁気の縞模様を基に,シャツキー海台は海嶺の3重会合点のトレースに沿って形成されており、海嶺のテクトニクスと密接に関係していることが分かって いる.1990年代には3重会合点付近に上昇してきたプルームに原因があるというモデルが提案されている.しかし一方,3重会合点のある場所にちょうどプ リュームが上昇してくる確率は低いこと,ホットスポットの特徴を示さない同位体組成が数少ない火成岩試料から得られていることなどから,2000年代に なってからプルームよりもむしろプレート活動に関連した形成メカニズムが示唆されている.このような特徴から,シャツキー海台はLIPsの形成メカニズム として「プルームモデルとプレートモデルのどちらが重要か」を評価するのに最適の場所である.
本研究では,シャツキー海台の5サイトでそれぞれ基盤岩を100-300m,合計800m掘削・回収する.これにより,シャツキー海台の年代,マグマの起 源および進化を検証する.得られた結果から,LIPsがマントルプルームによってできたのか,それともプレート境界における特異な火成活動なのかという疑 問を解決できると期待している.この他にも,シャツキー海台の噴火にともなう表層環境への影響を評価すること,古地磁気情報からプレートの動きや火山の構 造を明らかにすること,そしてシャツキー海台の噴火とジュラ紀-白亜紀境界イベントとの関係を明らかにすることも研究目的とする.
関連ページ
>>http://iodp.tamu.edu/scienceops/expeditions/shatsky_rise.html(USIO)
年 | 著者/タイトル | 出版物 |
2011 | Sager, W.W., Sano, T., Geldmacher, J., and the Expedition 324 Scientists
IODP Expedition 324: Ocean Drilling at Shatsky Rise Gives Clues about Oceanic Plateau Formation |
Scientific Drilling |
2010 | Sager, W.W., Sano, T., Geldmacher, J., and the Expedition 324 Scientists
Shatsky Rise Formation |
Proceedings of the IODP |
Expedition 324 Scientists
Testing plume and plate models of ocean plateau formation at Shatsky Rise, northwest Pacific Ocean |
IODP Preliminary Report | |
2009 | Sager, W.W., Sano, T., and Geldmacher, J.
Testing plume and plate models of ocean plateau formation at Shatsky Rise, northwest Pacific Ocean |
IODP Scientific Prospectus |
海洋研究開発機構発表
統合国際深海掘削計画(IODP)第324次研究航海の結果について
~ジョイデス・レゾリューション号によるシャツキー海台形成モデルの検証に関する掘削研究~(2010年4月12日)
文部科学省発表
統合国際深海掘削計画(IODP)における研究航海の開始について
~シャツキー海台形成モデルの検証に関する掘削研究~(2009年8月7日)