テーマ
Paleoceanographic and tectonic evolution of the central Arctic Ocean
航海期間
2005年10月6日～11月17日
掘削船
Mission Specific Platforms/ESO
(DP Hunter)
掘削地点
Onshore Science Party (OSP) @ Bremen Core Repository
2006年2月13日～3月4日
J-DESC推薦の参加研究者
| 氏名 | 所属（参加時） | 役割（※はOffshore Partyにも参加） |
| 井龍康文 | （東北大学） | Co-Chief Scientist※ |
| 浅海竜司 | （東北大学） | Inorganic Geochemist |
| 杉原 薫 | （福岡大学） | Coral specialist※ |
| 山田 努 | （東北大学） | Carbonate Sedimentologist※ |
| 横山祐典 | （東京大学） | Inorganic Geochemist |
| 藤田和彦 | （琉球大学） | Foraminifera palaeontologist |
| 松田博貴 | （熊本大学） | Carbonate Sedimentologist※ |
| 町山栄章 | （海洋研究開発機構） | Core petrophysicist |
航海の目的
本研究航海は、深海掘削計画史上初のサンゴ礁掘削を目的とするものであり、深海掘削計画のみならず炭酸塩堆積学・地球化学研究の歴史における、記念碑的なイベントになると期待される。本研究航海の主目的は、以下の3点である。
(1)現在から１～２万年前までの海水準変化を高精度で復元し、最終氷期最盛期における海水準、融氷パルス＊の時期・規模及びサンゴ礁に対する影響を明確にすること。
(2)最終氷期最盛期以降の海水準上昇期における表面海水温を復元し、海水準の上昇がサンゴ礁に与える影響を明らかにすること。
(3) エルニーニョ等の短期の気候変動の規模及び頻度を明らかにすること。
従来の主なサンゴ礁堆積物を用いた最終氷期最盛期以降の海水準変動の研究は、バルバドス等のプレート境界付近の海域において行われ てきたため、復元された海水準変動は、地殻変動の影響を受けている可能性が指摘されてきた。本研究航海は、地殻変動の影響を受けない海洋島の周囲に発達す るサンゴ礁において多くの掘削を行い、最終氷期最盛期以降の堆積物を得ることを特色とする。
本研究航海で得られる掘削試料の検討により、従来に比べ遥かに高い精度で海水準変動が描き出され、融氷パルスの時期及び規模が明確 になり、氷床の消長の歴史が明らかになると期待される。また、掘削試料中のサンゴ化石の分析により、表面海水温や塩分を分析できるほか、最終氷期最盛期以 降の堆積物がほぼ連続的に得られるので、過去2万年間の南太平洋の海洋環境変動を復元し、エルニーニョ等の短期の気候変動の規模等を明らかにできる可能性 がある。これらの検討により、海水準の上昇等がサンゴ礁生態系に与える影響についても明らかにできる可能性がある。
*融氷パルス：約14,000年前（MWP-1A）と11,500年前（MWP-1B）に北半球の氷床が急激に溶出し、わずか数百年間に海水面が約20m上昇した地質学的なイベントをいう。
関連ページ
| 年 | 著者／タイトル | 出版物 |
| 2007 | G. F. Camoin, Y. Iryu, D. Mcinroy, and IODP Exp. 310 Scientists
IODP Expedition 310 Reconstructs Sea Level, Climatic, and Environmental Changes in the South Pacific during the Last Deglaciation |
Scientific Drilling |
| Camoin, G.F., Iryu, Y., McInroy, D.B., and the Expedition 310 Scientists
Tahiti Sea Level: The last deglacial sea level rise in the South Pacific: offshore drilling in Tahiti (French Polynesia) |
Proceedings of the IODP | |
| 2006 | Expedition 310 Scientists
Tahiti Sea Level: the last deglacial sea level rise in the South Pacific: offshore drilling in Tahiti (French Polynesia) |
IODP Preliminary Report |
| 2005 | G. F. Camoin, Y. Iryu, D. Mcinroy, and IODP Exp. 310 Scientists
The last deglacial sea level rise in the South Pacific: offshore drilling in Tahiti (French Polynesia) |
IODP Scientific Prospectus |