航海情報
テーマ
Serpentinization and life: Biogeochemical and tectono-magmatic processes in young mafic and ultramafic seafloor
蛇紋岩化作用,流体,生命:若い苦鉄質および超苦鉄質海洋底における生物地球化学及び構造性マグマ活動プロセス
プロポーザル#758-Full>>外部リンクはこちら(フルバージョンPDF)
Scientific Prospectus>>こちら
実施予定期間
Offshore Party:2015/10/24~12/12
Onshore Science Party (OSP) :2016/1/20~2/3@ブレーメン
※Offshore Partyに参加するのは一部の研究者となります。
掘削船
Mission Specific Platform:
RRS James Cook carrying the BGS Rockdrill 2 and the MARUM-MeBo seafloor drills.
科学目的の概要
この航海は中央海嶺研究における近年明らかになった,2つの事象,すなわち1) ロストシティー熱水フィールド(LCHF)の発見によって裏付けられた拡大軸外の蛇紋岩に胚胎された熱水活動,そして2)低速および超低速拡大海嶺の主要 な要素である不均質な苦鉄質および変質しやすい蛇紋岩化超苦鉄質リソスフェアの構造性マグマ活動プロセスに関連した科学計画です.蛇紋岩化作用は海洋リソ スフェアのレオロジーと地球物理学的属性をコントロールすると共に,ヒートフラックスや地球化学的サイクル,そして幅広い環境変化において微生物活動を伴 う基礎的なプロセスです.
この航海は(1)熱水駆動システムにおいて水素や炭化水素に富む流体の発生に対 する蛇紋岩化作用の役割を定量化し,微生物コミュニティーに支えられた超苦鉄質岩への炭素隔離の可能性を探ること,(2)デタッチメント断層活動,非生物 と生物プロセス,そして若い苦鉄質・超苦鉄質な海洋底における熱水循環の3者間のリンケージと,これらの年代や岩質の違いと結び付けた際の解釈,そして (3)リソスフェアの不均質性につながる構造性マグマ活動プロセスとデタッチメント断層活動に関連した熱水活動の進化の特徴を明らかにすることを目的とし ています.
以上の目的を達成するため,本掘削航海では苦鉄質と超苦鉄質岩の両方が海底に存 在し,デタッチメント断層が露出するアトランティス・マッシフ(AM)コアコンプレックスを横切る方向の複数個所を特定任務掘削船(MSP)による海底設 置型の掘削システムを用いてコア試料を採取します.この掘削では,AMの南壁に沿って海洋底の拡大方向に平行な方向(東西方向)でかつLCHFから様々な 距離にある複数の地点,そして,AMの中央部に向かって主要構成岩が苦鉄質から超苦鉄質岩に変化する場所である海嶺に平行な方向(南北方向)において,現 地性の連続的な堆積物と熱水堆積物/脈,そして断層と基盤岩の回収を行います.
最も優先度の高い掘削は,AMの南壁を横切る海洋底拡大方 向に平行方向の掘削で す.サイトAM-01A(AM-11A:代替サイト)とサイトAM-06AはLCHFに関連する上昇流域です.東に向かってサイトAM-02Aと03Aは 海底に露出したマントルシーケンスの深部を採取する掘削サイトであり,これらのサイトにはより新しい時代に海底に露出した岩石が分布すると共に,最も高い 地温勾配を記録しているかもしれません.サイトAM-04Aと05Aは露出したマントルでは最も低速でより脆弱なセクションであり,分離に最も近いが,よ り長い変質の歴史をもつ可能性があります.南北のトランゼクト(サイトAM-01A and AM-06A through AM-10A)は拡大軸に平行な方向で,岩相,変質,そして微生物活動,及び流体の放出と1.16~1.31Maのリソスフェアにおける変化を調査しま す.
各掘削サイトの情報
<ロストシティ熱水フィールドに関連した上昇流域>
AM-01A (AM-06A as alternate)
掘削深度:堆積物3m,基盤岩50~70m(水深:800m)
岩相:固結した遠洋性炭酸塩岩と玄武岩質火山砕屑岩(炭酸塩基質)及び蛇紋岩化かんらん岩
概要:堆積物,熱水沈殿物,断層面及びタルクシスト/蛇紋岩基盤を採取し,岩石学的,化学的,微生物分析を行います.可能ならばロギングと流体採取を行います.
AM-11A
掘削深度:堆積物3m,基盤岩50~70m(水深:750m)
岩相:固結した遠洋性炭酸塩岩と玄武岩質火山砕屑岩(炭酸塩基質)及び蛇紋岩化かんらん
概要:堆積物,熱水沈殿物,断層面及びタルクシスト/蛇紋岩基盤を採取し,岩石学的,化学的,微生物分析を行います.可能ならばロギングと流体採取を行います.
<年代による変化を捉えるトランゼクト>
AM-02A
掘削深度:堆積物2~3m,基盤岩50~70m(水深:1,140m)
岩相:(半)固結した遠洋性炭酸塩岩と玄武岩質火山砕屑岩(炭酸塩基質)及び蛇紋岩化かんらん岩
概要:堆積物,断層面,タルクシスト/蛇紋岩基盤を採取し,岩石学的,化学的,微生物分析を行います.
AM-03A
掘削深度:堆積物1~2m,基盤岩50~70m(水深:1,590m)
岩相:(半)固結した遠洋性炭酸塩岩と玄武岩質火山砕屑岩(炭酸塩基質)及び蛇紋岩化かんらん岩
概要:堆積物,断層面,タルクシスト/蛇紋岩基盤を採取し,岩石学的,化学的,微生物分析を行います.
AM-04A
掘削深度:堆積物3m,基盤岩50~70m(水深:1,400m)
岩相:固結した遠洋性炭酸塩岩と玄武岩質火山砕屑岩(炭酸塩基質)及び蛇紋岩化かんらん岩
概要:堆積物,断層面,タルクシスト/蛇紋岩基盤を採取し,岩石学的,化学的,微生物分析を行います.
AM-05A
掘削深度:堆積物3m,基盤岩50~70m(水深:1,450m)
岩相:固結した遠洋性炭酸塩岩と玄武岩質火山砕屑岩(炭酸塩基質)及び蛇紋岩化かんらん岩概要:堆積物,断層面,タルクシスト/蛇紋岩基盤を採取し,岩石学的,化学的,微生物分析を行います.
<拡大軸に平行な変化を捉えるトランゼクト>
AM-07A
掘削深度:堆積物3m,基盤岩50~70m(水深:1,150m)
岩相:固結した遠洋性炭酸塩岩と玄武岩質火山砕屑岩(炭酸塩基質)及びはんれい岩を覆う蛇紋岩化かんらん岩帯
概要:堆積物,断層面,苦鉄質基盤岩を採取し,岩石学的,化学的,微生物分析を行います.
AM-08A
掘削深度:堆積物3m,基盤岩50~70m(水深:1,510m)
岩相:固結した遠洋性炭酸塩岩と玄武岩質火山砕屑岩(炭酸塩基質)及びはんれい岩を覆う蛇紋岩化かんらん岩帯
概要:堆積物,断層面,苦鉄質基盤岩を採取し,岩石学的,化学的,微生物分析を行います.
AM-09A
掘削深度:堆積物3m,基盤岩30~50m(水深:1,670m)
岩相:固結した遠洋性炭酸塩岩と玄武岩質火山砕屑岩(炭酸塩基質)及びはんれい岩を覆う蛇紋岩化かんらん岩帯(厚さ20m以下)
概要:堆積物,断層面,苦鉄質基盤岩を採取し,岩石学的,化学的,微生物分析を行います.
AM-10A
掘削深度:堆積物3m,基盤岩50~70m(水深:1,780m)
岩相:固結した遠洋性炭酸塩岩と玄武岩質火山砕屑岩(炭酸塩基質)及びはんれい岩を覆う蛇紋岩化かんらん岩帯
概要:堆積物,断層面,苦鉄質基盤岩を採取し,岩石学的,化学的,微生物分析を行います.
ESOのページ>>こちら
共同首席研究者
Gretchen Fruh-Green, Beth Orcutt
J-DESCからの参加研究者
氏名 | 所属 | 役職 | 乗船中の役割 |
諸野祐樹※ | JAMSTEC高知コア研究所 | 主任研究員 | Microbiologist |
秋澤紀克 | 金沢大学 | ポスドク研究員 | Igneous Petrologist |
Amila Ratnayake | 島根大学 | ポスドク研究員 | Organic Geochemist |
※掘削航海(Offshore party)にも参加
プレスリリース情報
募集要項
主な募集分野
sedimentology
microbiology
organic geochemistry
inorganic geochemistry
structural geology
igneous petrology
metamorphic petrology
paleomagnetics
geophysics
petrophysics/downhole logging
※これら以外の分野も応募を受け付けています。
応募方法>>こちら
応募用紙の記入方法>>こちら
応募する>>こちら
募集〆切
2015年1月16日(金)〆切ました。
注意事項
応募する方は全員英文CV、さらに在学中の場合は指導教員の推薦書が必要となります。
修士課程の大学院生の場合は乗船中の指導者(指導教員もしくは代理となる者)が必要です。
乗船に関わるサポートについて
乗船研究者としてIOから招聘される方には乗船前から乗船後に至る過程の数年間に様々なサポートを行っています。主な項目は以下の通りです。
- プレクルーズトレーニング:乗船前の戦略会議やスキルアップトレーニング
- 乗船旅費:乗下船に関わる旅費支援
- アフタークルーズワーク:モラトリアム期間中の分析
- 乗船後研究:下船後最長3年で行う研究の研究費
乗船の手引き(乗船前準備や船上作業・生活方法に関する経験者からのアドバイス集)>>こちら
お問い合わせ
J-DESCサポート
海洋研究開発機構内
E-mail: infoの後に@j-desc.org
Tel: 045-778-5703
船上レポート のページへジャンプする。
Onshore Science Partyレポート のページへジャンプする。