航海概要
テーマ
Continental Crust Formation at Intra-Oceanic Arc:Arc Foundations, Inception, and Early Evolution
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航海予定期間
2014年5月30日~2014年7月30日
掘削船
JOIDES Resolution
乗船/下船地
横浜/横浜
掘削地点
科学目的
Based on IODP Proposal 695-Full2, this expedition will examine the inception and evolution of the Izu-Bonin-Mariana (IBM) Arc by obtaining a sedimentary and crustal record from the Amami Sankaku Basin.
The primary objectives are (1) to examine the petrology and age of the crust to infer the geochemistry of the mantle prior to IBM arc inception and determine the mantle source of the arc foundation; (2) to obtain records of IBM arc inception and growth, late Mesozoic-early Paleogene eastern Tethys paleoceanography, and East Asian monsoon conditions during the Neogene; and (3) to determine if early uplift or subsidence was associated with subduction initiation.
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共同首席研究者
Richard Arculus、石塚 治(産業技術総合研究所)
J-DESCからの乗船研究者
氏名 | 所属 | 役職 | 乗船中の役割 |
---|---|---|---|
石塚 治 | 産業技術総合研究所 | 主任研究員 | Co-chief Scientist |
金山恭子 | 金沢大学 | ポスドク研究員 | Core Description-Sedimentologist |
草野有紀 | 金沢大学 | ポスドク研究員 | Core Description-Igneous Petrologist |
浜田盛久 | JAMSTEC | 研究員 | Physical Properties Specialist |
乗船に関わるサポート情報
乗船研究者としてIOから招聘される方には乗船前から乗船後に至る過程の数年間に様々なサポートを行っています。主な項目は以下の通りです。
- プレクルーズトレーニング:乗船前の戦略会議やスキルアップトレーニング
- 乗船旅費:乗下船に関わる旅費支援
- アフタークルーズワーク:モラトリアム期間中の分析
- 乗船後研究:下船後最長3年で行う研究の研究費
乗船の手引き(乗船前準備や船上作業・生活方法に関する経験者からのアドバイス集)>>こちら
お問い合わせ
J-DESCサポート
海洋研究開発機構 横浜研究所内
E-mail: infoの後に@j-desc.org
Tel: 045-778-5703
最終更新日: 2014年9月11日
レポートインデックス
レポート8>>ミッション終了。一路、横浜港へ
レポート7>>海底下1600mに到達!
レポート6>>基盤岩到達!!
レポート5>>タービダイト
レポート4>>人生初の夜型生活
レポート3>>岩石物性測定区画の様子
レポート2>>最初のコア!
レポート1>>掘削地点に到着しました!
レポート8 2014年7月27日 「ミッション終了。一路、横浜港へ」
浜田盛久(JAMSTEC)・草野有紀(金沢大学)・金山恭子(金沢大学)

写真1 最後の”Core on deck”、写真2 掘削の状況がリアルタイムで示される研究室内のホワイトボード。掘削深度1611mに達して、掘削は終了したことを示す。EOEは、End of expeditionの意。写真3 ロギングのセンサー。矢印で示すのは空隙率を測定するセンサー。写真4 エンジニアが見守る中、坑内(黄色の矢印の方向)に投入されるロギングのセンサー。写真5 掃除が行われている船内。
基盤岩(海底下1470 m)に到達して以降は、岩盤が固いため掘削のスピードが遅くなりましたが、7月20日には海底下1600 m(レポート7参照)、最終的に1611 mまで到達しました。最後のコアは、7月21日未明に船のデッキに上がってきました(写真1、写真2)。
掘削の終了とともに次のミッションであるロギング(坑内に計測ツールを吊るして地球物理学的なパ ラメータを得る物理検層)が行われました。ロギングを行うことにより、坑内温度や古地磁気の方位、地震波速度、空隙率といった地球物理学的データを坑内で 得ることができます。船上に回収されたコアから得られる物質科学的データと組み合わせれば、鬼に金棒です。写真3・4は、エンジニアがワイヤーに吊るされ たロギングのセンサーを坑内に投入するところです。矢印で示しているのは、坑内の地層の空隙率を測定するセンサーで、アーチ状の金具はセンサーを壁面に押 し付ける役割を果たしています。
長い航海もいよいよ終わり、私たちは横浜港へ向け帰港中です。当初のミッションをほぼ遂行した今 航海は、大成功と言えるでしょう。船内では、2か月間の航海中の出来事をまとめた笑い溢れるビデオの上映会や、航海記念Tシャツのロゴのプリンティングと いった楽しいイベントが開かれる一方で、今後の研究の方向性についての真剣な議論も交わされています。船内では、次のIODP第352次航海が気持ち良く 始められるよう、洗浄剤を使って研究室を徹底的に掃除したり(写真5)、乗組員の方々が甲板の塗装を行ったりしています。そんな中、私たち日本人研究者 は、7月27日に群馬県生涯学習センター少年科学館と中継して、小学生の皆さんにジョイデス・レゾリューション号の船内や掘削設備、研究生活などについて 紹介しました。これをきっかけに、若い皆さんが少しでも自然科学に興味をもってくれたらとても嬉しく思います。
さて、2か月間にわたって、私たち3名でお届けしてきましたIODP第351次航海乗船レポート は、このレポート8を以って終了いたします。これまでのご愛読・ご声援ありがとうございました。またこの場をお借りいたしまして、ともにtuff (tough) lifeを乗り切った乗船研究者・技術者とこの航海の成功のために力を尽くして下さった全ての方々(6年前に本航海を提案し採択に導いた先輩研究者の 方々、J-DESC事務局の方々、船の安全運航から私たちの生活面に至るまで様々にお世話になったジョイデス・レゾリューション号乗組員の方々、陰ながら 支えてくれた家族…)に感謝いたします。
レポート7 2014年7月19日「海底下1600mに到達!」
金山恭子(金沢大学/Core Description-Sedimentologist)
こんばんは。ジョイデスレゾリューション号乗船中の金山です。
今日、7月20日の午後6時ごろ、掘削はついに海底下1600mまで到達しました。
先日、浜田さんがお伝えした通り、7月15日に海底下1470mの海洋地殻(海底下)に到達して以来、ほぼ順調に掘削が進み、海洋地殻を構成している玄武岩のコアが得られています。
船の上では、コアの記載や分析の合間に、私たち乗船研究者が持ち帰って研究するためのサンプル選びが行われています。これは『サンプリングパーティー』と 呼ばれています。得られたコアの中で研究に必要な個所に各自のシールを貼っていきます(写真1)。これをテクニカルスタッフの方々がてきぱきと切り分けて くださいます。テクニカルスタッフの仕事はそのほかに、あがってきたコアの整備、薄片作成、分析・測定の補助など、多岐にわたります。乗船研究者にとって とても心強い存在です。

写真1 サンプリングパーティーの様子。各自の名前が書かれた色とりどりのシールをコアに貼っていきます。
さて、今日の昼間は久々の雨模様でしたが、夕方には晴れてきれいな夕日を見ることが出来ました(写真2)。

写真2 今日の夕焼け。
レポート6 2014年7月15日「基盤岩到達!!」
浜田盛久(JAMSTEC/Physical Properties Specialist)
JAMSTECの浜田盛久です。
ジョイデス・レゾリューション号によるIODP第351次航海が開始されてから約7週間が経ちま した。台風8号の直撃を避けるため、7月上旬に東方の紀伊半島沖へ避難して停泊し、天候回復を待つという約1週間の時間的ロスがありましたが、7月10日 に掘削地点の奄美三角海盆に戻り、7月12日にコアが再び上がり始めてからは順調に掘削作業が進みました。そして、1470mの深度まで掘り進んだ7月 15日朝に、私たちはついに基盤岩に到達したのです(写真1)。船内でのミーティングにおいて、リチャード・アーキュラス共同首席研究者が「基盤岩に到達 するという本航海の大きな目的が達せられた」と報告すると、乗船研究者から大きな拍手が沸き起こりました。

写真1 火山砕屑性の堆積岩(上部)と基盤岩(下部)の境界。掘削深度は1470m。
ここで言う「基盤岩」とは、プレートの沈み込みが開始して伊豆・小笠原・マリアナ弧が生じる前から存在していた海洋地殻の事です。今後、基盤岩を詳細に観察し、化学分析を行うことにより、オリジナルな海洋地殻やマントルの特性に関する情報が得られると期待されます。
2か月間の長い航海も、残り2週間となりました。時間は過ぎてみると早いものです。残された時間で、技術的に可能な範囲でできるだけ基盤岩を深く掘り抜き、地質学的、地球物理学的、地球化学的データを得て、下船後の共同研究に繋げたいと思います。
先日、乗船研究者の集合写真を撮ってもらいました(写真2)。皆、元気に頑張って過ごしています。

写真2 乗船研究者の集合写真(Bill Crawford氏撮影)(写真をクリックすると拡大写真を見ることができます)
レポート5 2014年7月5日「タービダイト」
金山恭子(金沢大学/Core Description-Sedimentologist)
こんにちは。コア記載班、昼シフト(12時~24時)の金山です。
U1438E孔の掘削は7月5日午後現在、海底下1300mまで進んでいます。海底にたまっていた分厚い堆積物を掘り抜いて、そろそろ海洋地殻(基盤岩)に到達するのではないか、という段階です。みんな今か今かと待ち焦がれています。
ところで、本航海で掘削している『奄美三角海盆』とはどんな場所なのでしょうか。『海盆』とは周 囲を(海底の)山で囲まれた海底の盆地です。水深は約4700m。ここには、周囲の「山」から海底の土砂崩れによって流れてきた砂や泥や石ころがたまって います(私たちはこれを『タービダイト』と呼びます)。約2500万年前から約5000万年前にかけて、この近くで海底火山が活動していました。この期間 にとりわけ大量の土砂(主に溶岩のかけら)がこの地域に供給され、厚くたまりました。千年(あるいは一万年)に一度くらいの頻度で発生した土砂崩れ―我々 人間の感覚ではごくごくまれな現象―は、気が遠くなるような長い時間をかけて1300mもの分厚い地層をつくりました。タービダイトのほかには、大昔に日 本列島などで起こった大規模噴火の火山灰や、海中の微生物の化石がたまっています。
私たちコア記載班は、約10mのコアをだいたい1~2時間かけて観察し、色、粒度、堆積構造などを記録します。・・・ということは、平均して15万年間くらいの出来事を2時間で記載していることになるのでしょうか。
私はこの掘削航海で得られたタービダイトを持ち帰り、当時どんな火山活動が起こっていたのかを調べる予定です。
1300mの堆積物の下には約5000万年前の火山活動の以前からあった、もともとの海底(海洋地殻)が横たわっていると予想されています。その海底はどんな岩石でできているのか?いつ形成されたのか?は掘削してみないと分かりません!
さて、7月4日はアメリカ合衆国の独立記念日でした。お昼ご飯にはご馳走が振る舞われました(写真1&2)。
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写真1:独立記念日のお昼ご飯の様子。御寿司もあるよ! | 写真2:衝撃のデコレーション~クリーム&生魚~ |
ここ数日は、とても良い天気が続いて、海もとても静かです。そんな日は夕焼けもきれい!晩御飯を食べた後に、水平線に沈む夕日を堪能できるのが昼シフトの特権です(写真3)。・・・あれ?南の海上に巨大な台風が・・・

写真3:ジョイデス・レゾリューション号から見た夕焼け
レポート4 2014年6月29日「人生初の夜型生活」
草野有紀(金沢大学/Core Description-Igneous Petrologist)
351次航海 夜シフト(0-12時)の草野です。
夜シフトはつらい、スワップしたいという方も複数おいでの中、23時起床、15時就寝にすっかり馴らされ夜型生活を満喫しています。
私はコア記載班で働いています。記載といっても内容はすべてデータベースに入力していて、
写真や物性データ(浜田さんのレポートをご覧ください)などとともに一括管理されています。
独特の管理方法で、メンバーと相談しながら進めています。写真後方にいるスタッフのお兄さんが心配そうに見ていますね…。
夜中の3時はCookie time! と誰かが叫んでメンバーでお茶に行きます。
焼き立てパンが出ているとうれしい。
さて、来週にはホールEからコアが上がってきます。
海底に沈んだこのじょうご(リエントリーコーン)が、海底下1400 mの世界を見せてくれることを待ち望むばかりです。
レポート3 2014年6月20日「岩石物性測定区画の様子」
浜田盛久(JAMSTEC/Physical Properties Specialist)
JAMSTECの浜田盛久です。
ジョイデス・レゾリューション号によるIODP第351次航海が開始されてから約3週間、 IBM-1地点(奄美三角海盆)での掘削が始まってから約2週間が経ちました。360度見渡す限り大海原の絶海で、時折、軽い船酔いに苦しみながらも頑 張って船上での研究生活を楽しんでいます。現在は、hole Dでの海底下約900m(地質年代は始新世)までの掘削が終わったところです。
コアラボでは、毎日どんどん船上に上がってくるコアを、乗船研究者たちがそれぞれの専門性に応じて、間隙水の化学分析をしたり、コアの含まれる微化石を用いてコアの堆積年代を決定したり、コアの岩相を記載するなどの作業を流れ作業で行っています。
私は、昼シフト(12時~24時)の時間帯に、岩石物性(コアの地震波速度、熱伝導率、密度の測定など)の測定を担当しています。揺れる船内で、掘削深度が深くなるにつれて重たくなる(密度が高くなる)コアを運び続けるのは、なかなかの重労働です。
さて、岩石物性測定区画の様子をご案内しましょう。コアの地震波速度は、caliperと呼ばれ る計測器にコア試料を挟んで測定されます(写真1)。こういった測定を、1つのコアに対して1点~2点は行うようにしています。コアは、浅部から深部にか けて、泥質岩層、タービダイト層、礫岩層などと続きます。こういった岩石物性のデータは、これまで観測によって得られてきた地震波速度構造と比較されま す。

写真1
研究面のことばかりを書いてきましたが、船上での生活のちょっとした気休めは、階段の踊り場にあ る、乗船研究者の皆さんのペットの写真コーナー(写真2)を見ることです。私自身は、猫の写真が好きです。犬の写真が多いですが、中には、ウサギ、ヘビ、 ハイエナなどの変わり種もあります。

写真2
今後、基盤岩を目指してさらに深く掘削が行われます。今後の新たな展開は、また機会を改めましてご報告したいと思います。
レポート2 2014年6月12日「最初のコア!」
金山恭子(金沢大学/Core Description-Sedimentologist)
こんにちは。はじめまして。351次掘削航海乗船研究者の金山恭子です。6月8日のお昼頃、ついに最初のコアが水深4700mの海底からやってきました。私たち乗船研究者の船上での仕事は、とれたコアを分析・記載することです。
これから忙しくなりますよ!
5人がかりで運んでいる長いものが海底からとれたコアです。
海底の堆積物がプラスチックの筒に入っています。
7.5mコアは150cmの長さに分割し、さらに縦に半分に切られます。半分は研究に使われ、もう半分は保管されます。
レポート1 2014年6月7日「掘削地点に到着しました!」
草野有紀(金沢大学/Core Description-Igneous Petrologist)
航海レポートをお待ちの皆さま、はじめまして。351掘削航海乗船研究者の草野です。
本日6月7日午前2時半すぎ、今航海の目的地に到着しました。
梅雨前線の嵐を乗り越えて、快晴のなか、ひたすらパイプが下ろされていっています。
午前8時から3時間見続けて(暑いです! 焼けます!)ようやく100メートル近く降りていきました。
写真はドリルフロアーの様子です。あの下が、海につながっています。
明日には最初のコアが上がってきます!
連結前 連結後
銀色のパイプがより下側になります。上側になる茶色いパイプをクレーンで吊り上げて、ねじを回すようにしてつなぎます。上側のパイプがクレーンの「手」ごと回転します。
つながると、ひゅーんと下に降りて行って、茶色いパイプの上側にまた次のパイプを連結します。
これがひとまず水深の4700メートル分つながっていきます。
追加募集情報
募集分野
有機地球化学
※This expedition plans to fully core a 1300-m thick sedimentary sequence spanning the present to the early Cretaceous that provides an important archive for NW Pacific climate evolution, changes in oceanographic conditions and terrestrial vegetation changes on the Asian continent. The potential intervals to be recovered, including Cretaceous Oceanic Anoxic Events (OAEs) and Cenozoic hyperthermals and climate transitions, are rare in this region and an unique opportunity to compare this Pacific record with better studied sections elsewhere.
募集〆切
2013年10月7日(月)9:00〆切りました
応募方法>>こちら
応募用紙の記入方法>>こちら
応募する>>こちら
注意事項
応募する方は全員英文CV、さらに在学中の場合は指導教員の推薦書が必要となります。
修士課程の大学院生の場合は乗船中の指導者(指導教員もしくは代理となる者)が必要です。
追加募集情報
募集分野
(a) 白亜紀~現生の珪質微化石または石灰質ナノ化石生層序(ある程度の経験がある研究者)
募集〆切
2013年8月9日(金)〆切りました
2013年8月26日(月)〆切延長!
応募方法>>こちら
応募用紙の記入方法>>こちら
応募する>>こちら
注意事項
応募する方は全員英文CV、さらに在学中の場合は指導教員の推薦書が必要となります。
修士課程の大学院生の場合は乗船中の指導者(指導教員もしくは代理となる者)が必要です。
募集情報
募集分野
制限なし
募集〆切
2013年5月1日(月)〆切りました
注意事項
応募する方は全員英文CV、さらに在学中の場合は指導教員の推薦書が必要となります。
修士課程の大学院生の場合は乗船中の指導者(指導教員もしくは代理となる者)が必要です。
※IODP研究成果の取りまとめは、研究航海乗船者に対するサポートを継続していくために非常に重要なものです。成果については、主に日本(J-DESC枠)から乗船した方が含まれる論文をまとめております。新たに論文等を出された場合や資料中の過不足・お気づきの点などがございましたら以下まで情報をお寄せください。
参考:IODP Publications
http://publications.iodp.org/
参考:Scientific Ocean Drilling Bibliographic Database
http://iodp.americangeosciences.org/vufind/
お問い合わせ
J-DESCサポート
海洋研究開発機構 横浜研究所内
E-mail: infoの後に@j-desc.org
Tel: 045-778-5703