Exp. 390/393 South Atlantic Transect

船上レポート

最終更新日:2022年06月24日
※日付は日本時間

IODP 第393次航海

レポート4(2022年 6月23日受領)>> IODP 第393次航海 ついに最初のコアを採取!
レポート3(2022年 6月19日受領)>> IODP 第393次航海 約1週間のトランジットを経て
レポート2(2022年 6月12日受領)>> IODP 第393次航海 揺れる船内
レポート1(2022年 6月10日受領)>> IODP 第393次航海 ついにJOIDES Resolution号に乗船!

IODP 第390次航海
レポート1(2022年 4月16日受領)>> IODP 第390次航海 乗船前~出航前の様子

 

Exp. 393の航海レポート4:ついに最初のコアを採取!

桑野 太輔(千葉大学 大学院生)

みなさん、こんにちは。千葉大学D3の桑野太輔です。約1週間の基盤岩の掘削を終え、JOIDES Resolution号(以下JR号)は,次の掘削地点に移動を開始しました。このサイト(U1559)では、前半の航海Exp. 390で堆積物までが得られていたので,基盤岩のみの掘削が行われ、コア試料が採取されました。

 

最初のCore on deck!

 
今回の航海では堆積物と基盤岩のどちらも掘削するため、さまざまな掘削システムを使用しているそうです。そこで、今回はJR号の3つのコアリングシステムについて簡単に紹介したいと思います。これらは略称でAPC、XCB、RCBと呼ばれています。APCはAdvanced Piston Corerの略で、柔らかい堆積物に対して油圧でパイプを突き刺すことにより、パイプの中に入った堆積物を回収します。海底面下すぐの堆積物は柔らかいため、堆積物のはじめはAPCで掘削が進められます。堆積物を掘り進めていくと、圧密によって次第に堆積物は固い地層へと変化していきます。そこで登場するシステムがXCBです。XCBはExtended Core Barrelの略で、ピストンコアリングが不能になった後の掘削で使用されます。これにより固い地層でもコア試料を採取することが可能となります。

しかし、上のシステムでは基盤岩を深くまで掘り進めることはできません。そこで登場するのがRCBです。RCBはRotary Core Barrelの略で、固い堆積岩や基盤岩に対して使用されます。このドリルビッドはXCBとは異なり、4つのローラーコーンがついた非常に頑丈なドリルビッドが使用されています。今週から行われていた基盤岩の掘削では、主にRCBのシステムを使用して基盤岩を掘削しました。下の写真の右側が実際に使用していたドリルビッドです。左の未使用のものと比較すると、かなり摩耗しており、掘削が非常に過酷な条件下で行われていることがわかります。

 

(左)未使用のドリルビットと(右)U1559掘削後のドリルビット

 
基盤岩を掘削している間、堆積物を取り扱う研究者たちは暇をしているのかと言うとそうではなく、トランジット中から作業は進められていました。実は、この航海の前半Exp. 390は本来であれば2020年の10月に実施される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、JR号に研究者を乗船させずテクニシャンの皆さんだけで堆積物の採取を先行して行っていました。そのときに採取したコア試料は未だ手付かずだったため、今回の航海では、それらの試料についても併せて記載・分析等を行っています。そのため、船内はどの分野も大忙しです。

 

上がってきたコアに集まる乗船研究者の皆さん

次回の船上レポートでは、私たち微古生物学者が船内で行っている活動を紹介したいと思います。お楽しみに。

顕微鏡観察を行う筆者

 

 

Exp. 393の航海レポート3: 約1週間のトランジットを経て

土井 信寛(千葉大学 大学院生)

皆さん、こんにちは。第一回で紹介して頂きました千葉大学で微古生物について専攻しています後期博士課程2年生の土井と申します。ケープタウンからJOIDES Resolution号が出航して約1週間が経過し、ついに最初の掘削地点に到着しました。初めての長期船上生活だったので、揺れる船内に体を慣らすのが大変で、波が荒れた時にはごはんを食べるのも苦労しました。ただ、掘削を始める前に船がなるべく動かないようにするので、しばらく揺れを気にする必要がなくなりそうです。日本では段々と暑くなっていく時期だと思いますが、こちらは南半球なのでこれから寒くなっていくことが予想され、既に船室外では肌寒く感じることが多いです。

船上の研究室から見える荒れた波模様

まだ到着したばかりの私たちは具体的な作業に取り掛かっていませんので、今回は参加しているExp 390/393で予定されている研究について、この回でご説明したいと思います。本計画は南大西洋横断調査(South Atlantic Transect)と題されていて、南大西洋を横断しつつ、合計6地点もの海底を掘削することになります。既に4月から行われていたExp 390で3箇所分の掘削は終わっているので、後半のExp 393では残りの3箇所に着手していく予定です。
実は今回の研究で対象にしているエリアでは過去に既に掘削が行われています。ですが、その研究航海は今から約50年前に行われたもので、研究の手法や技術などは現在と大きく異なっていました。それでもそのデータは過去の海洋環境の変化をきれいに表していたため、現在の海洋研究の根幹となる役割を果たしてきましたが、逆説的にこれを現在の技術で調べなおすことは関連研究に大幅なアップデートをもたらすことに繋がるのです。私たちのような微古生物を研究する者は本航海で目標としているものはまさにそれで、含まれている微化石群をもとに南大西洋の海底コアを調べ上げて、海洋環境変化を記録したスタンダードとする際に重要な役割を担います。また、きれいな状態でコアが残っていることがわかっていることから、個人的には微古生物の進化が海洋環境とどのように絡んでいたのかを明らかにするために本航海のコアが非常に有効であるのではないかと期待しています。
乗船している研究者の方々はこれからの海洋研究と自分の研究の発展のために熱意をもって本航海に参加しているので、この掘削地点への到着を非常に喜びます。今回は到着を祝って記念のケーキをみんなで食べました。いよいよ海底からの掘削が始まるので、近日中に桑野さんがその様子をお伝えしますので、次回をお楽しみにしてください。

 

船の到着をお祝いするパーティーでケーキを食べました

 

Exp. 393の航海レポート2: 揺れる船内

桑野 太輔(千葉大学 大学院生)

みなさん、こんにちは。千葉大学D3の桑野太輔です。現地時間の6/11にJOIDES Resolution号(以下JR号)はケープタウンを無事出港し、約1週間弱のトランジットが始まりました。ここからついに真のIODP Exp.393の始まりです。今回はタイトルにもあるように、実際にJR号が海に出てみて、どれくらい揺れるのかということについて紹介したいと思います。

 

出港時に港から臨むテーブルマウンテン

とはいうものの、どれくらい揺れているのかを陸上にいるみなさんにお伝えすることは非常に難しいことですよね。そんな中、JR号のラボに下の写真のようなものを見つけました。これは、船がどれくらい左右に揺れているかを簡易的に測定する装置です。上のピンクの部分が0〜5度、下の透明の部分は0〜15度までの目盛りになっており、写真の場合だと、3〜4度船体が右に傾いていることになります。ちなみに、今回は大西洋の中緯度の航海ですが、より高緯度の南極周辺に行くと、写真の下にあるように約15度傾くこともあるそうです。3〜4度と言うと、そこまで揺れていないように感じるかもしれませんが、身体にはそれなりに負荷がかかります。さらに、これに加えて、前後方向の揺れもあるため、時々身体が突き上げられるような感覚になることがあります。

 

船の傾き具合がわかる水準器

ちなみに筆者は船に非常に弱いため、案の定、今回も出港してすぐは船酔いでダウンしてしまいました。この記事も船酔いに耐えつつ執筆をしていますが、油断するとすぐに気持ち悪くなります。船酔いの程度は人によりますが、ほとんどの人が酔い止めを飲めば酔わないレベルでした。(船内で船酔いしていたのは私だけかもしれません。)JR号には、医務室も完備されており、そこでドクターが診察をしてくれます。筆者は早速、出港1日目からドクターにお世話になることになってしまいました。

 

JR号の医務室

研究活動の方は、今日から本格的にそれぞれのラボの準備が始まりました。微古生物学者が利用するラボについても、テクニシャンの方と一緒に、微化石を抽出する処理を行うために必要な物をセッティングしたり、顕微鏡のセットアップを行ったりしています。さらに、それぞれの使用方法や注意点などのレクチャーも受講したところです。微古生物学者の船内でのお仕事についても、このレポートで紹介できればと思っておりますので、お楽しみに。

 

Exp. 393の航海レポート1: ついにJOIDES Resolution号に乗船!

桑野 太輔(千葉大学 大学院生)

みなさん、こんにちは。IODP第393次研究航海 South Atlantic Transect 2に微古生物学者として参加している千葉大学D3の桑野太輔です。今日からの船上レポートではJOIDES Resolution号(以下JR号)で実際に行われている研究活動や皆さんの気になるところを随時投稿していきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

 

JR号と筆者

本航海には、日本からは2名が参加していますが、なんともう1名は千葉大学の同研究室から参加しているD2の土井信寛さんです。彼は、もともと第390次研究航海に陸上分析者として参加していましたが、第393次航海において微古生物者が1名乗船できなくなってしまったため、急遽本航海に参加することになりました。同研究室から微古生物学者が2名といった異例の組み合わせではありますが、各々の得意な時代があるのでコンビネーションはバッチリです。

 

宿泊していたホテルから臨むテーブルマウンテン

さて、私たちは先日5/31に東京を出発し、シンガポールを経由して、6/1に南アフリカのケープタウンへと降り立ちました。さらにそこから約1週間近く、港の近くのホテルで隔離期間を過ごしていました。ただ、ホテル隔離期間もZoomを用いたミーティングがほぼ毎日行われ、研究者間での交流も行われました。そしてついに、6/9にJR号へ乗船しました。これから数日間はケープタウンの港に留まり、その後、掘削サイトに向けてトランジットが始まります。

 

JR号のやぐら

私たちの活動や研究成果は、この船内レポートの他にもTwitter(JOIDES Resolution, IODP at Texas A&M,乗船研究者個人アカウント)やIODPホームページ(https://iodp.tamu.edu/scienceops/expeditions/south_atlantic_transect.html)などに掲載される予定ですので、ぜひご覧ください。

 

 

IODP 第390次航海 乗船前~出航前の様子

相澤正隆(琉球大学)
高田真子(東京大学)

●ホテル隔離
4月1日に東京を出発し,ドイツ・フランクフルトを経由して,4月2日に南アフリカ・ケープタウンに到着しました。船内での新型コロナウイルスの蔓延を防止するため,そのまま1週間のホテル隔離となりました。隔離期間中も頻繁にZoomミーティングがあり,乗船後のシフト発表もありました。
隔離期間中は,ホテルのスタッフとも極力接触しないようにする必要があったため,食事はホテルのルームサービスやUber Eatsの出前を利用しました。同じホテルに,乗組員,テクニカルスタッフ,研究者が総勢100名近く宿泊していたそうです。

 

写真1 ケープタウンのテーブルマウンテン

 

●乗船
ホテル隔離期間中に2回のPCR検査を受け,4月9日,ついにJOIDES Resolution号に乗船しました。数日間は港に停泊し,4月12日?に出航します。

 

写真2 JOIDES Resolutionの前で記念撮影

 

●ラボの様子
船内は,いくつかのラボがあります。5階には掘削されたコアがまず並べられて観察・記録を行うコアラボなどがあり,相澤(無機地球化学者),および高田(微生物/有機地球化学者)は,4階の地球化学ラボで主に作業をする予定です。
出航前なのでまだコアは掘られていませんが,既に測定の準備を開始しています。早くコアが上がってきて欲しい!

 

写真3-1 Geochemical Labでの準備の様子

 

写真3-2 Geochemical Labでの準備の様子

 

本航海の様子はJoides Resolution Science Operator(JRSO)のSNSでも発信中!
@TheJR (Twitter)
joides_resolution (Instagram)
@joidesresolution (Facebook)

航海概要

航海概要

テーマ

South Atlantic Transect

JRSOのページ>>こちら

航海予定期間

Exp. 390: 2020年10月5日~12月5日==> 2022年4月7日~6月7日
Exp. 393: 2021年4月6日~6月6日==> 2022年6月7日~8月7日

掘削船

JOIDES Resolution

乗船/下船地

Exp. 390: Cape Town, South Africa to Cape Town, South Africa
Exp. 393:Cape Town, South Africa to Cape Town, South Africa

掘削地点

南大西洋

 

科学目的

South Atlantic Transect Expeditions 390 and 393 (based on IODP Proposals 853-Full2 and 853-Add) are a multidisciplinary and joint scientific ocean drilling project that aims to recover complete sedimentary sections and ~200 m of oceanic crust along a crustal age transect at ~31°S across the South Atlantic Ocean to
(1) investigate the history of low-temperature hydrothermal interactions between the aging ocean crust and the evolving South Atlantic Ocean; (2) quantify past hydrothermal contributions to global geochemical cycles; (3) investigate sediment and basement-hosted microbial community variation with substrate composition and age in the low energy South Atlantic Gyre subseafloor biosphere; and (4) investigate the responses of Atlantic Ocean circulation patterns and the Earth’s climate system to rapid climate change, including elevated CO2 during the Cenozoic.

The South Atlantic Transect expeditions will target six primary sites on 7, 15, 31, 48, and 63 Ma ocean crust. The proposed transect, which follows a Mid-Atlantic Ridge crustal flow-line, will fill critical gaps in our sampling of intact in-situ ocean crust with regards to crustal age, spreading rate, and sediment thickness. The transect traverses the previously unexplored sediment- and basalt-hosted deep biosphere beneath the South Atlantic gyre, samples of which are essential to refine global biomass estimates and investigate microbial ecosystems’ responses to variable conditions in a low energy gyre and aging ocean crust. The transect is located near World Ocean Circulation Experiment (WOCE) line A10, providing access to records of carbonate chemistry and deep-water mass properties across the western South Atlantic through key Cenozoic intervals of elevated atmospheric CO2 and rapid climate change. Reconstruction of the history of the deep western boundary current and deep-water formation in the Atlantic basins will yield crucial data to test hypotheses regarding the role of evolving thermohaline circulation patterns in climate change, and the effects of tectonic gateways and climate on ocean acidification.

詳細についてはJRSOのページをご参照ください。

下記にCOVID-19に関する対応事項がございます:

COVID-19 Protocol: The JRSO has created a protocol to safely operate during the COVID-19 pandemic. If pandemic conditions have not improved by early-mid 2022, one or both expeditions may need to sail with a reduced shipboard contingent. However, all participants will maintain their designation as science party members regardless of whether they sail or not, and will have equal access to all expedition data and core materials. The protocol is available here: http://iodp.tamu.edu/scienceops/JR_COVID-Mitigation-Protocols.pdf

 

共同首席研究者

Exp. 390: Rosalind Coggon and Jason Sylvan
Exp. 393: Damon Teagle and Gail Christeson

 

事前科学説明会「Webinar」・資料 にアクセスいただけます

日時:2019年7月18日(木)12:00 pm Eastern Time(日本時間19日01:00 am JST)

科学目的や募集の説明がありました。資料はここから

Webinarへはこちらからご覧いただけます。

プレスリリース・報告書類

下記のようにプレスリリースされました:
https://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20220406/

お問い合わせ

J-DESCサポートオフィス(海洋研究開発機構内)

カテゴリー: IODP Expedition パーマリンク

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